賀茂輝酒造瓶詰工場改装 | |||
「ここでこそ意味のある風景」 |
![]() |
||
東広島市西条は灘、伏見と並び酒蔵の町として有名です。現在でも数社の酒蔵が稼働していますが、酒蔵が集積する旧山陽道沿いは各地の地方都市の旧中心市街地と同様、衰退傾向にあります。これからの旧中心市街地再活性化においては、その地域のアイデンティティを生かした具体的アーバンデザインを提案・実施していくことが必要です。 本プロジェクトは、元来、お酒を一升瓶に詰めるために使われていた工場家屋をイベント等に使える多目的スペースに改修したものです。酒造に関連のある一升瓶とカートンケースを再活用し、少ない予算ながらも、お酒をアピールする迫力のある風景が完成しました。一升瓶の下に LED 照明を仕込んであるため、夜には瓶が光ります。その光が背面の既存 ALC 壁に反射してカートンケースがぼんやりとレース状の影として浮かび上がり、不思議な奥行き感のある風景が出現します。昼と夜で全く異なる表情を見せる壁です。 この改修建物(鉄骨造)と、一升瓶とカートンケース(お酒の近代的な流通システム材)は共に近代を表すものであり、同じ敷地内の母屋(江戸期の商家造)、明治の煉瓦煙突などと合わせて、この酒造会社の歴史を表します。カートンケースは、一見、ランダムに積んであるように見えますが、 3 × 6 個のユニット 2 種類とグレーの 1 × 6 個の 1 ユニットのみを用い、その組合せを変えることによって、施工効率性をも高めたものとなっています。 このカートン壁は地元大工指導の下、広島大建築学生によって製作されました。 |
|||